NO.56 バーストラウマ

 
まだ、寒いですが、なんとなくですが、1日、1日、春が近づいてきているようで、うれしい気分の今日この頃です。皆さんは、お変わりなく、お暮らしでしょうか。私も、相変わらずというか、夕食には、ちょっぴり(?)、晩酌をして・・ と、酒を飲めることは健康の証でございます。
 
さて、東洋医学の普及により「気」が身体の健康にたいしては良き影響があることについては、最近の研究で科学的にも認められつつありますが、こころの面についてはどうなのでしょうか? 本日はそんなことを考えてみたいと思います。
 
一般的には、心の傷は時間が解決してくれるといいます。確かに、時間の経過とともに過去は癒されてゆくものです。ただ、それにも限界がありますから、どうしても時が過ぎるのを待っていられないほどに苦しい場合には、何か手を打たなければなりません。
 
気、エネルギー、波動と言われている世界から、精神の領域である「こころの傷(トラウマ)」をみると、トラウマの正体は緊張した波動、歪んでしまった波動ということに置き換えることができるようです。すでに生じてしまったトラウマに対しては、「波の干渉」という原理を用いて、トラウマを修復するための波動(エネルギー)を与えることができれば、トラウマの解決に繋がります。
 
音の世界では実証されているようですが、音は波の性質をもっているので、ある音に対して、その波をうち消す逆の波長をもつ別の音(波)を、最初の音(波)に与えると、元々の音(波)に変化が起こり、うまくゆけば消音(音を消すこと)ができるそうです。実際に、それを意識した製品も作られていますよ。たとえば、ボーズ社の製品、ヘッドホン(ノイズキャンセリング機能)はまさにそれです。
 
考え方としては「ノイズキャンセリング機能」と同じようなことになりますが、我々の無意識レベルに生じてしまったノイズ(緊張した波動、歪んだ波動)に対しては、外部からの別の波動を干渉させることで、ノイズを消すことができるということになります。もし、それが可能であれば、とてもショッキングな出来事から生じてしまった精神的トラウマであっても、短時間のうちに、トラウマから解放されること可能ということになります。

●うれしい体験も、また嫌な体験も、体験そのものは記憶として脳に蓄積されますが、それ以外にも、体験された内容は、波動レベルで、その人自身のエーテル体、アストラル体、魂レベルにも記憶として刻まれてゆきます。

 

●本人にとって、嫌な体験のすべてが悪いとは言えません。嫌な体験をしたとしても、そのこと自体が、トラウマとして本人に悪影響を及ぼさなければ、それはそれで何かの経験として、その人自身の成長に役立つこととなります。

 

●ただ、ここで問題なのは、ある嫌な体験が、その人自身の感受性や考え方や行動までを歪めてしまう程に強烈ですと、それは体験として喜べる範囲を超えて、トラウマの形成につながります。

 
どのような場面において、トラウマが生まれやすいのか、考えてみましょう。一般的に言われていることですが、一番危険性が高い瞬間は出産の時だそうです。専門的には、バーストラウマと呼ぶそうです。その次は幼児期だそうです。
 
我々は生まれたときのことをほとんど覚えていませんが、今までお母さんのお腹の中でゆったり、のんびり暮らしていたものが、誕生を機に、次の瞬間には、別世界(現実世界)にワープするわけですから、そのショックといったら、想像を絶することかもしれません。
 
ブッタは、バーストラウマ(出産の際の極度のショック)についても、意識していたのでしょうかね~ 仏教によると、人間には4つの苦しみ「生老病死」がある。と語られていますが、生まれる時の衝撃は「死」に相当するくらいの「ショック」だということなのでしょうか?
 
実際に、バーストラウマによって、その後の人生が思いもよらぬ方向へ流されてしまった人や、バーストラウマの影響によって、人格や性格が歪んでしまったかな~~? と思える人を、私はたくさん見てきました。あまり、知られていないことかもしれませんが、出産時のショックに関しては、意外と盲点かもしれません。
 
我々夫婦は、結婚当初からバーストラウマのことを意識していたので、もし、自分たちが子供を授かるときは、出来るだけやさしい出産をしたいと思っていました。特に、その思いは家内が強く、いざ妊娠したときは、ある意味、男の私は大変でした。
 
いま、思い返せば、ガッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハ~~~ と大笑いですが。
 
家内の希望としては、自宅出産をするということになったんです。おまけに、水中で出産するという条件付きで。すべてが家内の希望なのですが、男としてのこの私は、こんな時、ただ、ただ、「はい、はい、わかりました。わかりました。何でも、あなたのお好きなように!」としか言えませんよね。
 
女は、子供を味方にすると強い! と言われますが、まさに、そう思いましたね。そうと決まったら、行動力のある家内のことですから、早速、準備に取りかかりました。
 
自宅出産を援助してくれる助産婦さんを探しました。その方に相談すると、自宅のお風呂では、浴槽が狭すぎるので、もっと幅の広い浴槽(プール)が必要ということになり、やる気充分の家内は、ナッ、なんと、試行錯誤の末、錦鯉(ニシキゴイ)の品評会で使う、簡単に折り畳み可能なビニール製のプールを見つけてきたのです。
 
エッ、錦鯉を入れておくプールで子供を産むわけですか? と、我が子が生まれてくる場面を想像すると、ちょっと、イメージダウン! 神聖なる出産の場が、錦鯉のプールとはね~~ これも、優しい出産のためですか? 
 
 ハア~~ と、ついつい、溜息が出そうに。
 
それからが、たいへんな日々。いつ、何時、生まれるか分からないということで、緊急事態に備えての訓練をするということになりました。出産を予定しているヘヤは2階だったので、その2階のヘヤにプールを作って、そこまで、実際にお湯(体温くらいの温度)を入れてみるということになりました。
 
長いホースが必要だからということで、ホームセンターへ行ってホースを買ってきたり・・・ そして、そのプールに実際にお湯を入れてみたり、まあ、とにかく、普段の仕事をしている方が、私にとってはよっぽど楽でした。
 
なんだ、かんだ、と言われながら、やっと緊急事態に備えての一連の訓練(笑)が終わり、いつでもOKですよ。という時期に、たまたま、これが出産前の最後の検診だね。ということで伺った近所の産婦人科で、意外なことが判明しました。
 
家内のお腹が張ってくると、お腹の中の子供の心拍数が落ちてしまうということらしいです。ちょっとでもお腹が張ってくると心拍数が下がるのです。このままでは、自宅での出産は難しいだろうから・・・ という結論になり、病院で生むことにしました。
 
検査を受けた病院とは別の産婦人科にお世話になることとなりましたが、その病院の先生とはすでに知り合いだったので、何でも気軽に話せる間柄でいましたから、そちらの病院にお世話になる事に決めました。
 
最悪の場合には、手術をすることもありますよ。ということを前提に分娩室に入りましたが、そのとき担当の先生から、ご主人さんも一緒に中へ入って下さい。と言われました。私としては、立ち会い出産を望んではいませんでしたが、担当の先生は、私が気功治療をしていることを知っており、先生曰く「私が許可をするから、奥さんの側にいて、気を送ってあげて欲しい」というのでした。
 
第三者的に冷静に考えてみると、非常に滑稽な風景でしたよ。担当医は、私が何をしているのか知っているものの、その先生以外の看護婦さんたちは、まったく、私が何者なのか分かりませんし、この人、いったい、何をしているのだろう? と思って、私を横目でサッと見ている感じが伝わってきました。
 
ただ、担当医から許可が出ているので、看護婦さんとしては、私が不思議なことをしていても、「やめてくださいよ」とか、何も言えなかったのかな~~と思いました。考えてみれば、不思議な話です。分娩室で、気功ですからね~~
 
今は、その当時より、だいぶパワーアップしたので、手を使わなくても相手に意識を合わせるだけで、相手に気を送ることができるようになりましたが、その当時は、マスコミなどで、「これが本場、中国の気功で~~す」というような番組で紹介されるのと同じような「いかにもこれが気功です」という格好をしながら、掌から気を分娩台の上に寝ている家内に送ってあげました。いま、思い返すと、超お恥ずかし~~~い限りです。
 
でも、お陰様というか、本来でしたら陣痛が強くなると胎児の心拍数が落ちてくるパターンだったのですが、その場に限ってはそうなりませんでした。と言っても、二度ほどヤバイかなと思う瞬間がありました。このままだと手術かなと思う場面でしたが、祈るような気持ちで、気を送り続けていると、どうにかこうにか心拍数が保ち直し、最終的には帝王切開をすることなく、無事に出産することができました。感謝です。分娩室に入ってから約2時間でしたが、今までに最高に集中力を使った気功でした。(笑) 正直、あのときと同じ体験はもう二度としたくないですね。精神的に疲れました。
 
あれから15年になり、彼女は中学3年生になりましたが、本当にお陰様というか、生まれてから今まで、風邪とか熱が出たとか、お腹が痛いとか、病気の為に病院へ行ったことが一度もなく、元気に暮らしています。
 
私自身は生まれながらに弱かったみたいで、小学生時代は風邪を引いてはすぐ病院、お腹が痛くなってすぐ病院。という感じでしたが、娘は生まれてから一度も薬を飲んだことがないのですから、これは凄いことだと思います。
 
それに、注射も一度もないのです。なんと、小学1年生の時、予防注射をしたのが始めてでした。周りの同級生達が、皆、経験していることなのに、本人だけが一度も注射を体験していないというに対して、本人は子供心なりに、引け目に感じていたのでしょうね。予防注射を受けた時は大喜びでした。なんだかおかしな話ですよね。余談が長くなりましたので、本題に戻りましょう。
 
誕生の瞬間につくられたトラウマや、幼少の時期につくられたトラウマは時の流れと共に無意識化されて、本人には気づきにくいという特徴があります。でも以下のようなことを頻繁に感じるようであれば、それは無意識化されたトラウマが、あなたの糸を陰から操っているという可能性があるかもしれません。

(1)無意識的に、ついつい言葉や暴力で他人を傷つけてしまう
(2)理由もなく、緊張してしまう、もしくは、不安を感じてしまう
(3)与えられても、与えられても、満足できないことが多い
(4)人が嫌い、人と接するのが怖く感じる
(5)両親に対して違和感、嫌悪感を強く感じてしまう
(6)物事を何でも否定的に考えてしまう
(7)人の幸せを憎たらしく感じてしまう
(8)他人に物事を強制してしまうことが多い

 
これから出産をお考えの未来のお母さんは、バーストラウマに関することを勉強されたら良き出産に出会うことができると思います。今も出版されているかどうかは分かりませんが、数年前は本屋さんである本を買うことが出来ました。誕生の瞬間の大切さを力説した「暴力なき出産」という名前の本が出版(星雲社、中川吉晴訳、1800円)されています。これからお子さんを。と考えている、お父さん、お母さん、興味がありましたら読んでみてください。
 
ここで問題なのは、すでに、大人になってしまった我々としては過去には戻れないし、今更、「あなたはバーストラウマかもしれませんよ」などと言われても、どうにもならないような気がしますし、困ってしまいますよね~ でも気の世界に興味をもって頂くと、たとえ大人になってからでも、バーストラウマや幼少期のトラウマから解放されることは可能だと思います。